マルケ州南部の土着品種アスコラーナ・テーネラは、肉詰めフライとしても有名な直径8㎜にもなる果肉の多いオリーブ。トマトの葉やアーティチョーク、アーモンドを彷彿させる香りと、ほどよい苦みを感じる軽い仕上がりのオイルとなっています。収穫したその日にコールドプレスし、貯蔵庫のタンクにも使われているステンレス容器にボトリング。豊富なポリフェノール、香りや色を損なわず、長期間にわたり搾りたての美味しさを味わっていただけます。
La cultivar e la storia. 品種の歴史
オレア・ヨーロピアンのアスコラーナ・テネラ亜種はローマ時代からよく知られており、方言では“Liva da Concia”や “Liva Ascolana”と呼ばれています。古代ローマ人は“colymbades”と名付けました。「泳ぐ」という意味のギリシャ語の動詞に由来し、古代ローマ人たちはオリーブの保存方法を参考にして名付けました。ローマ帝国時代の政治家であるカトー、ヴァッロ、詩人のマルティアリス、政治家であり文筆家であったペトロニウスたちはこの品種の高い品質について書き残しています。またペトロニウスが著書「サティリコン」の中で、トリマルキオの食卓にはこのオリーブの品種が常に存在していたと記していたことも注目すべき点です。それに加えてローマ教皇であったシクストゥス5世までも、アスコリのお年寄りへの感謝の手紙でこの品種について触れています。作曲家であるジョアッキーノ・ロッシーニとジャコモ・プッチーニらもこの品種を高く評価していました。軍事家のジュゼッペ・ガリバルディはアスコリに滞在中、塩漬けオリーブと中に詰め物がされたスタッフドオリーブの両方を食べる機会がありました。その味に非常に感激した彼は友人から何本かの苗木をもらいカプエラに帰って栽培しようと試みましたが成功することはできませんでした。この話から分かるように、「アスコラーナ・テネラ」は他の土地で栽培することが難しいほどに土地に根付いた土着品種なのです。
オリ―ヴェ・グレゴーリ社
マルケ州南部アスコリ・ピチェーノ近郊のオリーブ加工品専門の生産者。グレゴーリ家に60年・4代続く農家であるが、2009年より会社の近代化とDOP(原産地名称保護)認定を持つ土着種のアスコラーナ・テーネラを中心に畑を転換し、オリーブ専門の生産者として再スタートをきる。2016年には畑を近隣の市まで広げ、2017年には自社の搾油所を建設。現在は看板商品のアスコラーナ・テーネラ100%のオリーブオイルの他、塩水漬けやパテなど9製品を展開している。