ボローニャ国際絵本原画展

ボローニャ国際絵本原画展~Chiacchiere!/Mail Magazine 16 Agosto 2023

イタリアのボローニャで毎年開催される世界最大級のブックフェアをご存知ですか?1964年から続く、世界で唯一の子どもの本専門の国際見本市、「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア(ボローニャ国際児童図書展)」。そしてこのフェアの中で行われる「ボローニャ国際絵本原画展」は、児童書のイラストレーションを対象にした国際コンクールで、人気のイベントの一つ。有名作家も新人作家も、出版済みの作品でも未出版でも、誰でも作品の応募ができ、公平に審査を受けられるこのコンクール。新人作家の登竜門にもなっており、今や世界90カ国を超える国と地域から、4000組以上の応募がある世界規模のイベントとなりました。今年も3月に実施され、4345組の応募のうち、79作家が入選を果たしたとのことです。なんと日本人作家も5名が入選していると聞けば、嬉しくまた誇らしく感じますね。

古くから学問の中心地として知られるボローニャ。1088年創設の世界最古の大学であるボローニャ大学を有するこの地は、学術的な伝統と文化が根付いており、文学や芸術の重要性が高く、児童文学の展示会を開催するのに適した場所として選ばれたのかもしれません。またボローニャはイタリア国内外からの交通アクセスが良く、ヨーロッパ各地や世界中から人々が容易に訪れることができるのも、国際的なイベントを行うのに適していたと言えるでしょうか。
ボローニャでのコンクールでは、世界中のイラストレーターたちが入選を目指して、児童書のために制作した5枚1組の作品を応募します。毎年変わる国籍の異なる5名の審査員によって選考が行われますが、コンクールの主催者が児童書専門の国際見本市であることから、世界の出版界からも注目されるイベントなのだそうです。

絵本は、子供たちに大きな影響を与える大切な存在です。豊かなイラストレーションと物語性によって、子供たちの創造性や想像力が刺激され、絵本は感情の育成や共感や理解の力を与えてくれるものです。絵本には教育的な要素も含まれていることが多く、社会的なテーマや価値観を伝える手段としても活用されることがあります。絵本のイラストレーションは、単なる挿絵というだけでなく、ストーリーの一部として重要な役割を果たしています。言葉だけでは伝えることのできない感情や情景をイラストで表現することで、読者の心に強い印象を残します。イラストレーターたちの仕事は、絵本の魔法を実現する鍵となっていると言っても過言ではありません。
皆さんも子どもの時に読んだ絵本で印象に残っているものや、大人になってからでも感動した作品がきっと一つはあるのではないでしょうか。子どもたちの創造性や想像力を育み、年齢を問わず教育的なメッセージを届ける力をも持つ絵本。皆さんのお気に入りの一冊も、もしかしたらボローニャ国際絵本原画展の受賞作品かもしれませんね。

文/アドマーニ