イタリアコーヒー文化

イタリアコーヒー文化

イタリア小話~Chiacchiere!/Mail Magazine 05 Agosto 2020

イタリアコーヒー文化

イタリアは言わずと知れたコーヒー文化が根付いており、その歴史は1720年にヴェネツィアに出来た世界最古のカフェ“カフェ・フローリアン”から始まったと言われております。

イタリアへ行ったことがある方であれば、”Bar”=カフェという認識でいらっしゃる方も多いと思います。
イタリアのバールが、いわゆる日本でいうカフェでもあり、且つ夜はお酒が飲める社交場に変わる場所でもあり、イタリア人にとっての憩いの場となります。

イタリア人のほとんどは「mio bar(ミオバール)」と呼ばれる行きつけのバールがあります。
mio(ミオ)とは英語でいうmy(マイ)、つまり私のバールと直訳できます。

その自分の行きつけのバールで毎朝一杯コーヒーを飲み、1日が始まります。
行きつけのバールでは何も言わなくても、“あなただけのいつものコーヒー”がカウンターに出てきて、それをクイっと飲み干す。
そこでバリスタとサッカーの話や政治の話、家庭の話などたわいのない話をしてから仕事へ行くんです。

私もイタリア在住中に自分のバールを探すことを目標にし、毎日同じところへ通っていると、毎朝同じ常連さんがいて、いつの間にか話しかけてくれて顔見知りになっていたことがありました。素敵な時間でしたね。

イタリアコーヒー文化

エスプレッソ

イタリア=エスプレッソというイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、エスプレッソ(Espresso)はイタリア語で「急行」「速い」という意味ですし、1900年初旬頃にイタリアで発祥したと言われております。(エスプレッソは「あなただけに」という特別な意味もあるようです。ロマンチックですね。)
ただ、必ずしもイタリア人がエスプレッソを飲むというわけではなく、ほとんどのイタリア人はまず、朝一番にカップチーノを飲みます。
日本人の多くが牛乳を飲むのと同じですね。

食後には、ほぼ必ずエスプレッソを飲みます。
エスプレッソが消化を促し、リラックス効果があると言われている所以もあります。
ちなみに、エスプレッソの本場の飲み方を知っていますか?
これはイタリア人に聞いたことなので、諸説あるとは思いますが・・・

  • カウンターで出てきて10秒以内に飲む
  • カ砂糖をたくさん入れて飲む

が鉄則だそうです。

〇なぜ10秒なのか。
エスプレッソは圧力をかけたお湯で一気に抽出するものなので、この名がつけられたと言われており、旨味が凝縮された状態で出てきます。
その旨味はエスプレッソの要とも言われる「クレマ(泡)」であり、クレマは他の要素と混ざり合うことで苦味が勝ってしまいます。その前に飲み干すことが一番エスプレッソの味を楽しめるというわけです。

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アペリティーボ

イタリア人は仕事終わりにもバールへ行きます。
帰宅前の一杯は「今日も一日お疲れ様。」という労いの言葉を込めて、同僚たちと一杯コーヒーを飲んでから帰る、という場合も多いです。

コーヒー以外にお酒が飲めるのもバールの特徴。
お酒一杯と軽食がついて、千円程度ととてもリーズナブルでありながら、十分食事も楽しめます。
イタリア人はこのアペリティーボでさくっと一杯飲んだ後、自宅で家族と夕食を楽しみます。

イタリア人にとってバールとは生活に欠かせない場所であり、世界でも突出したイタリア文化とも言えるでしょう。

おしゃべりが好きなイタリア人は、コーヒーを飲みながらいつもの場所でいつものコーヒーを飲む。イタリア人があまりストレスを溜めないのは、自然とイタリアに根付いているこのコーヒー文化のおかげかもしれません。

イタリアに行った際にはバール巡りを楽しんでみてくださいね♪

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文/アドマーニ