バルサミコを使うシェフ

「バルサミコとは」イタリア食材研究:2

バルサミコとは

イタリア料理に欠かせない名脇役「バルサミコ酢」。ご存知ですね。たいていのスーパーマーケットのイタリアンフードコーよく売られているバルサミコナーで、少なくとも1種類以上、豊富な品揃えの店なら10種類以上置かれていると思います。それらのバルサミコ酢は、250ml~500mlの瓶に入っていて、大体500円前後から、高くても3000円くらいではないでしょうか。中には8年ものとか10年ものとか大そうに書かれているものもあります。”Aceto Balsamico(di Modena)”などのイタリア語の表示がされているはず。
店頭で売られるバルサミコ
最近では、ちょっと味にうるさいご家庭では、たいていバルサミコ酢を常備してあるでしょう。サラダのドレッシングやカルパッチョのヴィネガー代わりとして、また肉料理のソースなどに加えるのが定番です。
バルサミコを使ったサラダ
こうした一般的な食材コーナーと別に、高級食材を扱うお店の特別な棚の上に置かれた100ccが1万円~3万円以上もするバルサミコ酢をご覧になったことがありませんか?”Aceto Balsamico Tradizionale di Modena”もしくは”Aceto Balsamico Tradizionale di Reggio Emilia”と書かれたラベルが貼ってあって、説明書とともにトラディツィオナーレ・バルサミコ1本ずつ化粧箱にいれられています。
レオナルディ バルサミコ トラディツィオナーレ ストラヴェッキオ D.O.P 
ふだん目にするバルサミコ酢と違い、はるかに高価でびっくりしますね。とても怖くて買うには勇気が必要です。実はこれこそが、イタリア北部の町モデナとレッジョエミリアで大切に作られてきた、本物のバルサミコ酢なのです。これらはいずれも最低12年の熟成期間を経たのちに、厳しい協会審査をパスして初めて世の中にデビューする由緒正しいバルサミコ酢なのです。
12年トラディツィオナーレ・バルサミコ D.O.P
ではこの大きく2種類に分けることの出来るバルサミコ酢の違いは一体何なのでしょうか?まず前者のバルサミコ酢は、“Tradizionale”(トラディツィオナーレ)の文字が入っていません。カラメルなど添加物を入れることを許されたもので、近代的製法に基づいて大量生産されるものです。近年になってやっとバルサミコ酢の美味しさが世間に広まったのは、これら大量生産のバルサミコ酢が爆発的に売れたからといえます。
パンとバルサミコ
これに対して“Tradizionale”(トラディツィオナーレ)の文字の入った、一風変わったボトルに入れられた後者の製品は添加物が一切認められておらず、昔ながらの製法によってごくごく少量生産される、伝統的なバルサミコ酢です。中世よりも前の時代から貴族の間で珍重されてきたそのままの姿といえるでしょう。その味の違いは一体どのようなものなのでしょうか。その味の違いを試してみた結果、ラベルの違いと同じぐらい味も千差万別。ワインビネガーに近いものから黒みつのようなとろける甘さのものまであります。基礎知識なしでラベルの雰囲気だけで判断するのは、至難の業だと実感しました。

その1へ
その2へ
その3へ
その4へ
その5へ
その6へ
その7へ

バルサミコSHOPへ