イタリアのキャンプ場バカンス
8月はイタリアの本格的バカンスシーズン。日本の家族には毎年バカンスに行くの?と聞かれますが、2024年の統計では68%のイタリア人がバカンスに行きます。私がイタリアに移住したころから比べると、私の肌感覚では経済的な理由からバカンスに行く人が減少傾向だと感じますが、なかなかの高い割合です。もちろんどこに行くか、どんな内容かはピンキリ。バカンスという響きで贅沢なイメージを持たれるかもしれませんが、家族代々持っている海近くまたは山の別荘に一定期間移り住んでゆっくりするだけ、という人もとても多いです。コロナでリモートワークも増え、こういった別荘に移り住んで半分バカンスしながら仕事をする人もちらほら・・・。
上記の統計によるイタリア人の今年の行き先は、例年だと一番人気の海が昨年の67%から45%に低下。その代わりに芸術の街が6%から19%、山が15%から18%、湖が3%から8%。海山湖以外の田舎が4%から7%に上昇しています。そしてコロナ明けから外国へ行く割合が毎年増え続け、今年は21%のイタリア人が海外でバカンスを過ごすそうです。
我が家は芸術の街・フィレンツェが近くの田舎住まい、夫の田舎がトスカーナ第二の山・アミアータ山(1738m)であることもあり、通常のバカンス先は海であることがほとんどです。一言で海といっても、宿泊施設による過ごし方は様々。息子たちが赤ちゃんの時代は私もリラックスしたいので、ビーチ直結の3食付きのホテルを選んでいました。彼らが大きくなるにつれ、節約、そして毎食の外食も煩わしいので、キッチン付きのアパートへ。親とずっと一緒でビーチで遊ぶのもなんだか微妙な年頃になったこの数年は、キャンプ場での滞在となりました。
日本のキャンプ場は行ったことがないので分からないのですが、イタリアの海近くのキャンプ場がどんなものかを紹介しましょう。ちなみに私が今まで行ったのは4か所、トスカーナ2か所(エルバ島、南部グロッセート)、マルケ州(ヌマーナ)、ロマーニャ地方(チェゼナーティコ)です。キャンプ場のつくりはどこも似たり寄ったり。宿泊では通常の家とほぼ同じアパート、簡易バンガロー、備え付けのテント、各自でキャンピングカーやテントを持って設営する区画、の4タイプほどが混在します。前者2つは専用のシャワートイレとキッチンがありますが、後者はそれらのゾーンに共同のシャワートイレや炊事場、BBQコーナーなどが完備。それとは別
にレストランとバール、ミニスーパー、プール、公園など、ちょっとした1つの町のようになっています。そして宿泊者が使える専用またはフリーのビーチが徒歩圏内にあり、宿泊者は思い思いに滞在を楽しみます。
私たちが思春期の息子たちのために最初に選んだキャンプ場は、18歳までの子供たちの年代ごとアクティビティがあり、同年代の子供たちと過ごすことができるのが大きな魅力でした。いずれのグループも年代に合うスタッフとアクティビティが用意されており、午前午後それぞれ2時間ほど親は子供と離れてリラックスでき、子供たちも楽しめるというわけです。エルバ島とマルケ州のキャンプ場は特に充実していて、それ以外にも前者はカヤックやウィンドサーフィン講習、後者はピラティスやヨガレッスンが無料で受けられ、毎日飽きることがありませんでした。
日本からイタリアのキャンプ場で過ごす、という選択はなかなか難しいかもしれませんが、キャンプ場の予約サイトだと1週間単位でしか予約できないものも、ブッキングコムなどの予約サイトを使えば1日単位で予約できるところもありますし、敷地内にレストランもあるので自炊する必要もなし、通常の旅行準備に水着やアメニティなどを追加するだけで他に特別な準備も必要ありません。特にトスカーナのキャンプ場は欧州各地からキャンピングカーで来る人も多いので、外国人にも慣れています。いつもと違うイタリアでの夏バカンス、特にお子さんがいるアウトドア好きのご家族にお勧めします!
文・写真/中山久美子
日伊通訳・コーディネイター。2001年にフィレンツェ留学、結婚ののち、2005年よりトスカーナ北部の田舎に在住。トスカーナの小さな村、郷土料理やお祭り、料理教室などのプログラムを紹介するサイト「トスカーナ自由自在」を運営。イタリアの美しい村30村を紹介した「イタリアの美しい村を歩く」を東海教育研究所より出版。